氷の表面は融点(0℃)以下の温度でも融解し、表面液体相が生成します。表面液体相は、スケートの滑りやすさから雷雲での電気の発生まで、幅広い現象の鍵を握ると考えられており、表面液体相の正体を分子レベルで解明することは大変重要です。これまでは、氷結晶の表面から1種類の液体相が一様に現れると考えられてきました。ところが、北海道大学 低温科学研究所の佐崎 元 准教授らが、オリンパス株式会社と共同で開発した原子・分子高さの段差を可視化できる光学顕微鏡を用いて観察したところ、氷結晶六角底面上では2種類の表面液体相が生成し、これらは互いに混じり合わずあたかも水面上に雨粒が乗った様な振る舞いを示すことを発見しました。
これは、表面液体相についてのこれまでの描像を根底から覆す成果で、今後、表面液体相が重要な役割を果たす幅広い現象の機構解明に役立つと期待されます。