監視カメラの市場再生策 [万引き防止.com]

監視カメラの市場再生策
技術は優秀でも営業が幼稚では

政府・日銀が物価を2%引き上げる目標を決めた。物を売る会社、とくに消費財を売る会社はよいだろう。買う立場の人、とくに日々の生活がいっぱいいっぱいの人の暮らしはどうなるのだろうか。来年4月には消費税も上がる。

今、100円ショップや牛丼店のおかげで大助かりしている人が沢山いる。その店に押し入って「金を出せ」と脅し大枚をかっさらっていく文無しの無職の男がいる。

店舗と万引き犯、レジ狙い強盗犯(コンビニ強盗)との負けるに負けられない戦が始まっている。店舗は、その覚悟が出来ているだろうか-。

日本の監視カメラ技術は優秀だと思う。それを韓国、台湾をはじめ諸外国が追いかけてきた。今、どうなっているだろうか。市場は韓国、台湾勢が席巻している。品質、機能の豊富さ、つまり開発力でも日本に追いつき、追い越している面もある。日本は高い技術力があっても市場が作れなかった。いや、市場を壊してしまった。何故だろうか。

理由は簡単。会社が技術が営業が、揃いも揃って買い手を見ていなかった。何故か。会社も技術も営業も幼稚だったから。前線に立っている営業が幼稚だということは大きな痛手だった。これは即会社が幼稚だったということ。

今から10年も前、市場で国産の監視カメラは圧倒的な強さを見せていた。今とは天と地ほどの違いだった。その面影は今はない。考えてみれば、録画装置のテープ式のタイムラプスビデオレコーダー(TVR)時代までが全盛だった。それがハードディスク方式のデジタルレコーダー(DVR)が登場して以来、じょじょに市場を奪われていった。

デジタルレコーダー登場の初期段階では、装置が突然止まってしまうといったトラブルが多発し、これの対応に技術だけでなく、営業も四苦八苦した。PC(パソコン)形式はダメ、ノンPC方式でなければ…と、買い手の心中を考えずに“小手先の話法”で言い逃れした。

この“小手先の話法”が全てにまかり通り、結局はほぼ独占してきた市場を壊してしまった。一方で市場は広がりを見せて競争が激化、“監視システム”のソフト対応策を競うのではなく、それを買い手にアピールすることもなく韓国、台湾勢に負けてなるものかと値引きを競い合ってきた。勝つわけがない。

当時、国産は品質、性能で特段の優位にあったが、これをアピールすることなく、韓国、台湾勢の安さに対応することで市場を守ろうとした。営業面の弱さがそうさせたのだった。この営業面の弱さは、つまるところ社員教育の弱さだった。

かつてメーカーは、自社の営業マンだけでなく、特約店の営業マンを集めて技術・営業研修をマメに行っていたが、バブルが弾けてからというもの、経費が掛かるということから姿を消してしまった。また、技術・営業研修を経験した幹部も時の流れやリストラで退社してしまった。そして教育の伝統が消えてしまった。

後はその気のある人の独学に頼るしかなかったが、技術・営業研修を経験した幹部がいなくなって、つまり教える人がいなくなってしまい、独学では買い手を説得する力は身につかず、製品の機能、性能を丸暗記することに時間を費やし、買い手が何を期待しているか(望んでいるか)に気を回すことがなかった。

また、技術も営業も市場-買い手を見ることがなかった。唯我独尊だった。自分たちで考えた機能、性能の高さを自慢し、買い手の欲している機能、性能を考慮することはなかった。一部の技術者は韓国、台湾の製品資料を入手して研究したが、そこには言語の壁があった。頼んだ翻訳が、資料の全てについて忠実に表されていたとしても、自分たちの考えるモノしか参考にしなかった。

あと1ヶ月少々で「セキュリティ・ショー」が始まる。監視カメラは、同ショーの目玉の一つである。また、安全・安心を守る基でもある。しかし、同ショーを長年見てきて感じていたのは、監視カメラの出展社は“見に来てくれる人たちの期待に応えることを考えているか”ということだった。見に行っても見に行っても、小難しく書かれたパネルが添えられているそばに監視カメラがあるだけだった。

出展社の技術陣は自分たちの知恵を自慢したいのだろうが、買い手はどいう利点があるかを感じることが出来なかった。今回のセキュリティ・ショーでは、監視カメラを“このように使えば”、▽犯罪を予防することができる▽犯罪が起きたと同時に知ることができる▽起きた犯罪を手早く検証することができる-ということだけでも解りやすくPRしてもらいたいと思う。

つまり、“こう使えば”ということを教えてもらいたいと思う。IPカメラがどうのこうのとか、NDVRがどうのこうのとか、H.264がどうのこうのといった能書きではない。それらは自社の会議の中で話せばいい。せめて上記の三点だけでも明らかにしてもらいたい。この三点こそが監視カメラに買い手の目が向く市場再生の最初のポイントである。 

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