万引き防止は誰のため [万引き防止.com]

私は店員(店長、アルバイト・パート含む)が対象の研修で、店員には「万引きを防ぐ責任と義務があり、また万引きを防ぐのは自分の生活を守るためでもある。店が潰れたらおいそれと仕事が見つからない」と話すことがある。

「責任と義務がある」というのは、1998年9月の福岡地裁小倉支部での判例を基にしている。「自分の生活を守るため」というのは、店が潰れたらおいそれと仕事が見つからないということを、今様のように店員はハッと思い出して一様にうなづく。

しかし、正直に言うと、多くの店舗を見てきている自分としては、万引き防止は店員のためではなく、「社長のためなのだがなぁ」と嘆いている。売り場の構造、監視カメラの位置、防犯タグの貼付数、店員数、店員の身のこなしなどを見るにつけ、それらの欠陥が社長の気持を反映していると思うからである。

警察発表の万引き認知件数をことさら重要視して万引きがこれだけ起きていると言う一方、自身の店の棚卸のデータは秘密にしながらロス率は0.1とか0.2%程度だと言うこともある。警察発表の認知件数は発生件数でなく、365日で割れば大した数字ではない。それを基にした被害額がこうだと言われても、それが実数だとは信じるわけにはいかない。信じられるのは棚卸のデータである。正確無比であるかどうかはわからないが…。ロスの9割は万引きと内引きだう。その割合は店を1、2月チェックすればわかる。

あるいは社長は、社内の幹部との会議などで意思を明らかにしているかも知れない。そうであるなら、実際に店舗指導を行っている幹部の責任かも知れない。幹部が責任を果たせないのは、もしかしたら、会議での社長の話が、まるで知らない人の通りすがりの一瞥(いちべつ)のような、‘通り一遍’の訓示のために幹部が理解できないためかもしれない。

そうであるなら社長の幹部に対する理解度にミスがあるか、伝える力がお粗末なためかもしれない。これはまた、社長の訓示を理解できない幹部の理解力に問題があると思われる。それを問題とせずに済ましているとたら社長の“慮る力(おもんぱかる力)”が欠如していると思う。“慮る力”とは何か-じっくりと考えてみてください。

これは幹部と店長の間にも同じことが言えるし、店長と店員の間にも言える。万引き防止は誰のためなのか、社長も幹部も店長も店員も考えてみたらいかがでしょうか。

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