磁場で絶縁性を持つ磁石を金属に [科学技術振興機構]

通常の物質は温度や磁場を変化させても、電気を通さない絶縁体から電気を通す金属へ、もしくは金属から絶縁体へと性質が大きく変化することはありません。しかしながら物質の中には、金属−絶縁体転移とよばれる相転移注1)により、金属状態から絶縁体状態へと電気的な性質が変化するものがあります。この金属−絶縁体転移に伴う大きな抵抗変化は、メモリやセンサーの機能原理として利用できることから、金属−絶縁体転移を示す物質開発や、その物性研究が盛んに行われてきました。学術的な面からも、絶対零度で起こる量子相転移に伴う金属−絶縁体転移についての研究は、近年の金属−絶縁体転移の研究の中で一つのトピックスとして注目されています。しかしながら、絶縁体の絶縁性は通常、磁場に対して強靭で、このような量子相転移に伴う金属−絶縁体転移を外部磁場により制御することは、ほとんど不可能だと思われてきました。
今回、東京大学 物性研究所(所長 瀧川 仁)のTian Zhaoming 日本学術振興会外国人特別研究員、小濱 芳允 特任助教、冨田 崇弘 研究員、金道 浩一 教授、中辻 知 准教授らの研究グループは、希土類と遷移金属のハイブリッド型磁性体注2)であるパイロクロア構造(図1)を持つ希土類酸化物Nd2Ir2O7において、磁場で誘起される金属−絶縁体転移を観測することに成功しました。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20151201/index.html

error: Content is protected !!
上部へスクロール