植物の高温に対する初期応答のメカニズムを解明 [東京大学]

東京大学と理化学研究所の共同研究グループは、植物が高温ストレスに応答する仕組みを分子レベルで明らかにしました。
 植物は環境の変化に適応するため、状況に応じてさまざまな遺伝子を活性化します。特に高温ストレスに対する適応では、マスター転写因子であるHsfA1が活性化することで、熱ショックタンパク質(HSP、注2)や種々の転写因子の発現が起こります。しかし、高温ストレス時にHsfA1が活性化するメカニズムや、HsfA1の活性化だけで植物中で起こるすべての高温ストレス応答を引き起こすことができるのかは、分かっていませんでした。
 今回、篠崎和子教授らの共同研究グループは、HsfA1内のリージョン1と名付けた領域がHsfA1自身の活性を抑える働きを持つことを明らかにしました。リージョン1を取り除いたHsfA1(Δ1)は恒常的に高い活性を持ち、Δ1を多く作らせた植物は高い高温ストレス耐性を示しました。ただし、Δ1は高温ストレス応答を部分的にしか引き起こさないため、完全な高温ストレス応答の誘導にはHsfA1だけでなく、他にも必要な因子が存在することが示されました。
 この研究は、植物に効果的に高温ストレス耐性を付与する技術の開発に貢献すると期待されます。

http://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2016/20160105-1.html

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