原始細胞の分裂・増殖の過程の謎に迫る [JST]

科学技術振興機構

大阪大学 大学院情報科学研究科 四方 哲也 教授の研究チームは、高度な分裂制御機構を持たないモデル細胞膜が、高分子を内封すると自発的に分裂することを明らかにしました。

約40億年前に誕生した初期の細胞(原始細胞)は、遺伝物質が脂質膜の袋で包まれただけの単純なものであり、この原始細胞が増殖し進化することで、高度で複雑な機構を持つ現代の生命に至ったと考えられています。現在の生物を構成する細胞は、たんぱく質などの制御によって成長し分裂することで増殖しますが、このような仕組みを持たない原始細胞がどのように分裂し増殖し得たのか、その過程はいまだ謎に包まれたままです。

研究チームは、原始細胞を模倣した単純なモデル細胞膜(リン脂質膜)を用いた実験により、膜の袋に分子量数千~数万ダルトンの高分子を内封している場合、内部の高分子が動ける空間をできるだけ広げようとする物理的効果(エントロピー増大の法則)に従ってモデル細胞膜の分裂が起きることを発見しました。この膜分裂は、複数のモデル細胞膜が融合して膜の面積が大きくなると自発的に起こる現象であり、原始細胞のように高度な制御機構を持たないものでも、成長して分裂する(増殖する)ことができた可能性を示唆するものです。

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